SOFT ROCK

ロジャー・ニコルス
ROGER NICHOLS&SMALL CIRCLE OF FRIENDS

いや〜、ソフト・ロックっていう言葉は昨今すっかり定着しているようですが、レコ・コレ2000年7月号のソフト・ロック特集によると、「主に1966年以降1975年までのメロディとハーモニーが中心の心地好いポップ・ミュージック」っていう定義があるそうな。これってかなり曖昧な括りで、見ようによっちゃあらゆるジャンルのポップ・ミュージックが含まれちゃう便利な言葉ですよね〜。レコ・コレで伊藤秀世さんも書かれていますが、当時リアル・タイムでロック/ポップスを聴いてた世代としては何ともピンと来ない言葉でもありますね。(ハード・ロックはあってもソフト・ロックなんて影もかたちもなかったもんね。)
とまあ、そんなことは置いといて、今回はソフト・ロックの名盤中の名盤といわれるアルバムを紹介しましょう。
極上のポップ・ミュージックに昇天まちがいなしですよ。

第2号 2005.1.1




SAGITTARIUS/PRESENT TENSE
サジタリアス
Sundazed SC-11053 1968
1.Another Time
2.Song to the Magic Frog (Will You Ever Know)
3.You Know I've Found a Way
4.Keeper of the Games
5.Glass
6.Would You Like to Go
7.My World Fell Down
8.Hotel Indiscreet
9.I'm Not Living Here
10.Musty Dusty
11.Truth Is Not Real
12.Artificial Light (Of All the Living Lies)
13.Get the Message
14.Mass # 586
15.Love's Fatal Way
16.My World Fell Down [Single Version]
17.Hotel Indiscreet [Single Version]
18.Lonely Girl
19.Keeper of the Games [demo Version]
20.Sister Marie [Instrumental Version]
 ※12〜20 previously unissued

コーラスの魔術師、カート・ベッチャーとブライアン・ウィルソンの良きパートナー、ゲイリー・アッシャーとの奇跡のコラボレートによるサジタリアス(いて座)名義の傑作アルバム。

何度も再発され、常にカタログから消えることのない、ソフト・ロックの代名詞ともいうべき名作ですが、9曲ものボーナス・トラックを追加収録した、Sundazedによる本盤が決定版といえるでしょう。

全編にわたり、天使の歌声ともいうべきカートの美しいヴォーカルと絶妙なコーラスが楽しめますが、特に天使度の高い(どこの言葉じゃ(笑))「Another Time」「Song to the Magic Frog (Will You Ever Know)」「You Know I've Found a Way」「Keeper of the Games」や子守唄風の美しいメロディが心にしみる(管理人的には一番好きな曲。)「Musty Dusty」が素晴らしい出来です。ボーナス・トラックの中ではアップ・テンポな曲なので天使度は少々低いのですが、ハーモニーが素晴らしい「Lonely Girl」が一押しです。

最後に収録されたインスト曲の「Sister Marie」の美しいメロディも特筆ものでしょう。オリジナル・アルバムの最後を締めくくる「Truth Is Not Real」と入れ替えた方が良かったんじゃないのなんてのは余計なお世話ですよね。

本作は現在入手可能です。 Present Tense輸入盤




THE MILLENNIUM/BEGIN
ミレニアム
SONY SRCS-9271 1970
1.プレリュード
2.トゥ・クラウディア・オン・サースデイ
3.友達になれたら
4.午前5時
5.君と
6.島
7.歌っておくれ
8.イッツ・ユー
9.サム・サニー・デイ
10.イット・ウォント・オールウェイズ・ビー・ザ・セイム
11.ザ・ノウ・イット・オール
12.カルミック・ドリーム・シークゥエンス 1
13.語りつくして
14.アンセム
15.ジャスト・アバウト・ザ・セイム
16.ブライト
         
こちらもコーラスの魔術師、カート・ベッチャーを中心としたグループ、ミレニウムの最初にして最後のアルバム。

Present Tenseと同時期の音源を使用していますので姉妹編として語られることの多いアルバムですが、ひたすら美しいPresent Tenseに比べ、実験的な音作りでありながらポップ、サイケの香り高きコンセプト・アルバムとして現在では圧倒的な評価を得ています。

発売当時、その内容があまりに前衛的すぎるとCBSがプロモーションを拒否したためセールス的には全く振るわなかったっていう話は有名ですが、まあ、当時のミュージック・シーンを考えるとあの「ペット・サウンド」同様、プロモートしたとしてもブレイクすることはなかったでしょうね。

まあ管理人も第一印象は、悪くはないけどね〜という程度だったんですが、聴き込む内にどんどん良さが分かってくるスルメのようなアルバムです。

本作の後、ミレニウムは裏ジャケットに書かれているTO BE CONTINUED の言葉どおり2作目のレコーディングに入ったのですが、わずか2曲を録音したところでメンバー間の意見の食い違いなどからあっけなく解散してしまったのは本当に残念ですね。

本作は現在入手可能です。ビギン 日本盤




PRADE/PARADE
パレード
A&M PCCM-2014
1.サンシャイン・ガール
2.シー・スリープス・アローン
3.ザ・レイディオ・ソング
4.ラヴァーズ
5.カインダ・ウェステッド・ウィズアウト・ユー
6.フロッグ・プリンス
7.ウェルカム,ユーアー・イン・ラヴ
8.ハレルヤ・ロケット
9.シーズ・ガット・ザ・マジック
10.A.C./D.C.
11.ララバイ
12.ディス・オールド・メロディー
13.ラフィン・レディー
14.アイ・キャン・シー・ラヴ

あのロジャニコのマレイ・マクリオードが参加している3人組グループ、パレードの傑作コンピ。

パレードは1stシングル「サンシャイン・ガール」が全米20位に食い込むスマッシュ・ヒットとなったのですが、その後リリースしたシングルが全て不発と終わり、アルバムを発売することなく、わずか1年で解散してしまいました。
本作はシングルAB面に未発表曲を加えた編集盤です。

管理人のお薦めは、印象的なギター・リフとコーラスが素晴らしい「シー・スリープス・アローン」、メランコリックなアコギの伴奏とイノセントなヴォーカルが心にしみる
「ラヴァーズ」(未発表曲とは信じられないよね)、コミカルでキュートな「フロッグ・プリンス」、クラシカルなアレンジでじっくりと聴かせる「ララバイ」、リオン・ラッセルのアレンジが冴える「アイ・キャン・シー・ラヴ」といったとこでしょうか。
唯一のヒット曲「サンシャイン・ガール」は悪くはないけどちょっと受けを狙いすぎじゃない?

本作は現在、Amazonで在庫切れ、HMV,TOWERはヒットしませんでしたので、新品での入手は困難なようです。オークション統計ページ(仮)などで中古品の出品情報を確認してみてください。




ROGER NICHOLS & SMALL CIRCLE OF FRIENDS/COMPLETE
ロジャー・ニコルス
A&M POCM-2065 1968
1.ドント・テイク・ユア・タイム
2.ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ
3.ドント・ゴー・ブレイキング・マイ・ハート
4.アイ・キャン・シー・オンリー・ユー
5.スノウ・クイーン
6.ラヴ・ソー・ファイン
7.カインダ・ウェイステッド・ウィズアウト・ユー
8.ジャスト・ビヨンド・ユア・スマイル
9.アイル・ビー・バック
10.ココナッツ・グローヴ
11.ディドゥント・ウォント・トゥ・ハフ・トゥ・ドゥ・イット
12.キャン・アイ・ゴー
BONUS TRACK
13.燃ゆる初恋(ロジャー・ニコルズ・トリオ)
14.ラヴ・ソング,ラヴ・ソング(同)
15.ジャスト・ビヨンド・ユア・スマイル(シングル・ヴァージョン)(同)
16.アイル・ビー・バック(シングル・ヴァージョン)(同)
17.レッツ・ライド
18.ドリフター(ロジャー・ニコルズ&ア・スモール・サークル・オブ・フレンズ)
19.トラスト(同)

真打はもちろんロジャー・ニコルズとマクリオード兄妹によるロジャー・ニコルズ&スモール・サークル・オブ・フレンズです。

ソフト・ロックの名盤として何度も再発されていますが、ボーナス・トラックを追加したこのコンプリート盤が絶対お薦めです。(17.18.19が最高にいい曲なんだよね〜)
値段が安いからといって間違っても従来盤を買わないようにね。

さてさて、肝心の内容ですが、ロジャーのペンによる曲はもちろんのこと、カバー曲のセンスの良さは抜群ですね〜。「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」なんかはビートルズのオリジナル・ヴァージョンよりはるかに好きですね。フレーズの途中で男性ヴォーカルと女性ヴォーカルが入れ替わるなんていうのは、ありそうでないパターンだしね。ラヴィン・スプーンフルの「ココナッツ・グローヴ」「ディドゥント・ウォント・トゥ・ハフ・トゥ・ドゥ・イット」もこんなにいい曲だったんだと再認識させてくれる素晴らしいアレンジですよ。

とにかく全曲が素晴らしい出来でいうことなし。一家に1枚のお宝盤です。(んなこと言っておきながら非常持出盤に入ってないじゃん、なんていうツッコミはしないように!ちゃんとこれも持って逃げますから。)

本盤は現在入手可能です。 コンプリート・ロジャー・ニコルズ&スモール・サークル・オブ・フレンズ